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ピアノレッスンとポール・ヴァレリーから得た気づき

 

【↑画像は最近購入したドビュッシー全集。

彼が愛した浮世絵が全33枚のCDジャケットになっていて、見てるだけでテンション上がります・・・✨

しかも左下をご覧ください。

ちっちゃい日傘をさすドビュッシー本人。かわいい。可愛くてニヤける。】

 

 

 

 

(このブログは書きながら気づきがあったので、最後に意見をひっくり返す驚愕の記事になりました。それでもよければどうぞ笑)

 

こんにちは。

 

これを読まれている方はおそらくピアノに興味をお持ちのことでしょう。

 

私は新しく通い始める生徒さんに必ずお伺いすることがあります。

 

それは、

ピアノを習いたいと思ったきっかけは?

ピアノでどんなことができるようになりたい?

憧れの曲や「こんな風になりたい!」というピアニストやアーティストは?

 

などなど。

 

単に雑談でお伺いするわけではなく、指導上の狙いがあります。

 

それは、

目標を共有することで一番適した方法を提示できると思うから!!!

 

 

 

ですが、

この質問に明確に答えて下さる方って、なかなかいないんですよね。

 

恥ずかしいのかもしれないし、特にないのかもしれない。

 

別になくても構いません。

とりあえずピアノを習うってどんな感じか体験してみたいって方も多いでしょう。

そうやってコツコツ続けているうちにビビッ!!とくる目標が見つかるケースもあると思います。

もちろん、週に一度教室に通うことそのものが楽しい!

っていうだけで、既に私はうれしいです。

 

 

 

「ピアノを弾けるようになりたい」と一口に言っても、人によって抱いてるイメージはかなり違うと思います。

 

バッハを弾きたい。

YOASOBIを弾きたい。

あのピアノ系YouTuberみたいに自由にアレンジしてみたい。

作曲する上で役立つスキルや知識の一環としてをピアノを身につけたい。

 

別に途中で変わってもいいのですが、とりあえず仮決めでいいから

目標があった方が楽しいのではないか?と思います。

 

それをなしにレッスンを開始するのは、

どこに行きたいか、行き着くのかわからずに走り出している状態。

だから回り道をたくさんするかもしれない。

それがもったいないのです!!!

 

 

一から順番にピアノを習った場合「ある程度弾ける」という状態になるには、残念ながらかなり長いことかかります。

もし、なんでもかんでも自由自在に弾ける、

ガチのクラシックもジャズもアレンジも作曲も…

という状態を目指すのであれば、どんなに適性のある人が密度の濃い練習をしたとしても

毎日3〜8時間ピアノを弾く生活をまあまあ長く続けないと難しいのでは。

 

 

でも普通は毎日3時間以上を練習に費やすほどピアノの優先順位の高い人って、そうはいないはず。

(もちろんそんな生徒さんがいたら私もテンション爆上がりますが。)

 

だったら「できるようになりたいこと」にとりあえず優先順位をつける。

 

というより!

一番ワクワクする姿、なりたい姿をイメージして、ピンポイントで狙って行った方がモチベーションも維持しやすいし、日々の練習の充実度が増すと思うんですよね。

 

特に大人の人は、絶対何らかの姿に「ムフフ♡」となったからこそ、忙しい合間をぬってレッスンに通っているはず。

 

恥ずかしがらずにその「ムフフ」を教えてほしい。笑

そうすれば道が組み立てやすいから。

そして幸い、どんなゴールでも適した道のりを一緒に考えられるのが私の強みだと思います。

 

 

ーーここからどんでん返しーー

 

 

 

・・・・って今まで思ってきたんですけど。

 

多くの人はそんなに「目的志向」でピアノに通っているわけではない!!!

 

ということにこの頃はっきりと気がつきました。

(私が目的志向すぎることの弊害だと思いました。笑)

 

 

というのは、目標を共有して

「よし!それなら!」と道筋を示しても、生徒さんが今一つのってこないことがあるのです。

笑笑笑笑笑笑

 

 

あぁぁきっと本当の欲望ではなかったんだな、

本当のことを言うのは恥ずかしいのかな、

それとも自分でも本当の自分の望みがまだ見えていないのかな・・・・

などと眺めていたのですが、それだけじゃないらしい。

 

 

そこでポール・ヴァレリーです。(「風立ちぬ」の引用元の人)

 

個人的なドビュッシー(作曲家)愛が加熱して、この頃ドビュッシーが影響を受けた人物の一人である

ポール・ヴァレリー(フランスの詩人・文学者)の論文を読み漁っているのですが、

ヴァレリーは鏡に映る実像と虚像に例えて「自己の二重性・複数性」について詩や文章を残しています。

 

たとえば、たった今「これができたらいいな」と感じたことが、

次の瞬間には「どーでもいいこと」になっている。

こんなのは誰しも共通する経験だと思います。

 

ヴァレリーが言うまでもなく「自己」というのは常に変動していて複数的であり、

それなら「自己」が抱く欲望も変動するに決まっているのです。

(かなり端折ってるのでわかりづらいですね。読み飛ばして大丈夫です。)

 

 

仮に初めは何か目的があったとしても、

レッスンをするうちに

できないところを工夫して何度も練習し、一緒に「できた!」を味わったり、

ゆっくりでもいいから進んでいく感覚、どんどん良くなることで自己肯定感が増したり、

何気ない雑談を楽しんだり、

 

そうやって「レッスンに通うこと」そのものが目的を兼ねるようになっていく、

生活の彩りになっていく。

ピアノレッスンには上達するだけではない「付加価値」があることをもっと大切にしたいと、近ごろ改めて思いました。

(いや、元々わかっていたはずなのですがね。)

 

 

自分が音楽を生業にしていることや、

音大受験指導など「結果」を求められる音楽との関わり方をすることが多いため

ともすると指導効果にフォーカスしがちですが、

人の数だけ音楽との関わり方があっていいはず

 

今年度は改めて、一人一人のペースを大切にしながらレッスンをしていきたいと思いました。♡

 

 

もちろん「こうなりたい!」がハッキリしている人にはそれに見合ったレッスンが可能ですよ!

 

一緒に楽しみながら模索していきましょう。