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直島の夜

前回に引き続き四国は香川の離島、直島での話です。

(いつまで旅の話をするんだって感じですが、ご安心下さい。まだまだ続きます。)

 

港で買った「直島マカロン(かぼちゃ味)」です。 

もしこのまま空いている飲食店が見つからなかったら、これが私の夕食になっていたことでしょう。

 

島は魚がおいしいそうなので、なんとしても魚料理が食べたいところです。

そう思ってめげずに何軒か電話して、ようやく営業しているお店につながりました。

そこは港の近くのお店なので、またバスに乗って行かなくてはなりません。

面倒である一方、そういえば、この旅で最も楽しみにしていることの一つである

I LOVE 湯♡」(アーティストの大竹伸朗氏が作った銭湯)も、港の近くにあるのでした。食事の後にそこで入浴できたら、何と首尾の良いことでしょう。

本数の限られたバスの時間を入念にチェックし、お風呂の道具をリュックに詰めていざバス停に向かいます。

 

時刻は18:15頃、四国といえど冬の夕暮れ後は冷え込みます。

だーれもいない、何の音もしない。町はしんと静まり返っています。

街灯もほとんどない中バス停で一人ぽつんと待っていると、なんだかトトロにでもなったようなノスタルジーを感じます。

が、待てどもバスは来ません。

観光シーズンじゃないから、バスのダイヤが違うのかしら・・・とすぐ心細くなります。

5分、6分と過ぎた頃、ようやくライトの光と共にバスが到着しました。

 

「遅れてすんません」と運転手のおじさんが柔らかい関西弁で話しかけてきます。

ほっとします。

そこから猛スピードでバスを飛ばす運転手さん。

 

港で降りて、お目当てのお店はすぐに見つかりました。

「ニューオリンピア」という落ち着いた和食の料理屋さんです。

座敷に何組かと、カウンターに一人くらい、外の静けさのわりにはそこそこの客入りです。

カウンターに案内されて一人、和定食の刺身や鯛の煮物をつつきながら生ビールを頂きます。

ビールから日本酒にうつった頃、女性の一人客が入ってきました。

なんとなく島民らしからぬ様子で、しかも女一人の観光客なんて私か一緒に宿にチェックインした先程の女性くらいでしょう。

 

その人は私のすぐ隣の席に案内されたので、声をかけるか迷いつつ、でも違う人かもしれない・・・と思案しながら日本酒は進みます。

気が大きくなったところで、気合いを入れて横を向き「旅行ですか?」と話かけると、果たして先刻の彼女でした。